2022年秋ドラマの中でも奈緒さんが主演の『ファーストペンギン』が面白い!堤真一さんの漁師役や梅沢富美男さんの漁協の組合長役など共演者も絶妙な配役で、暗いニュースが多い昨今久々に「スカッ!」っとした気持ちにさせてくれるドラマです。
毎回ドラマチックなストーリーの『ファーストペンギン』ですが、これが実話だというから驚き!ドラマのモデルになった女性は過去に「激レアさん」にも出演してたといいます。
一体『ファーストペンギン』のモデルの方はどんな方なのか、また、奈緒さん演じる主人公が漁師たちにブチ切れるシーンなど、さすがに脚色では?という中、どこからどこまでが実話なのかチェックしてみました。
ファーストペンギンのモデルとは?
プロフィール
“ファーストペンギン”は本来臆病で集団行動するペンギンの中から、魚を求めて、天敵がいるかもしれない海の中に最初に飛び込む一羽のことが転じて、”勇気をもって最初に飛び込む人”を表現する意味になっている英語表現です。
このドラマの主人公・岩崎和佳(のどか)役の、モデルになったのは坪内千佳さん。読み方こそ変えていますが、漢字がなんだか「和佳」という役の名前と似ていますね。
坪内さんは1986年生まれで2022年11月現在36歳。出身は福井県で、ドラマの舞台でもあり、実際坪内さんが現在も住む山口県萩市へは、結婚後移り住んでいます。
坪内さんは元々CA(キャビンアテンダント)を目指していて、英語をマスターするために名古屋外国語大学に進学。ところが、在学中だった19歳の頃、高熱がずっと下がらず、大病院を受診したところ「悪性リンパ腫で余命半年」という診断を下されます。(出典:AERA)
結果的に確定診断ではガンではなく、感染症の一種ということで命に別状はなかったとはいうものの、19歳で死を意識するというのは相当強烈な体験だったはずです。
その後学生結婚をして大学は中退。21歳で子供を授かり1児の母となるものの、3年で離婚。山口県に住んで空気も水も食べるものも変わり、ずっとアレルギー体質だったのがすっかりよくなったこともあり、離婚後も子供と共に地縁のない山口県に留まることを決意したそうです。
実家に帰らなかったのは運命だったのかもしれませんね。シングルマザーとして、子供を保育園に預けつつ英語を活かして翻訳の仕事や旅館の仲居さんなど、出来る仕事は何でも引き受けていたといいます。
そんな時に、声をかけてきたのが堤真一さんが演じる片岡役のモデルの漁師・長岡さん。漁獲高が減少し、漁師になる若者も減っていてこのままでは未来がないという危機感こそあるものの、パソコンも使えない自分たちのことを助けてほしいと頼まれたというのはドラマの通り。
こうして漁業のコンサルタントを、「面白そう」という理由で引き受けてしまったと坪内さんは言いますが、食の安全についてはアレルギー体質だったからこそ当初から関心は高かったと言います。そして経験ゼロの状態から飛び込むことができたのは、余命宣告を受けた経験から、「明日死んでも後悔しない生き方をしよう」と思うようになったことも理由だったのかもしれませんね。
とはいえ、漁業のことなど何も知らない素人。どこから手を付けてよいかすら最初は全く分からなかったといいます。そんな中、ちょうど農林水産業の「6次産業化」といって、野菜や魚を出荷するだけではなく、加⼯などの2次産業、さらにはサービスや販売などの3次産業まで含め、1次から3次まで⼀体化した産業として支援しようという動きを国が推し進めていた矢先。
その波に乗って、坪内さんたちの会社は国の認定事業者として認められ、捕った魚を漁師が船上で処理し、丁寧に箱詰めし、漁港から直接レストランなど消費者に届けるサービスを仕組化し、軌道に乗せていきます。
上記のように3行で説明できるシンプルな事業ですが、魚をとったことしかない漁師と、伝票の書き方から、梱包や配送まで何度も失敗を繰り返し、その都度衝突しながら、今日まで12年かけて作り上げてきたといいます。
なんともドラマチックなストーリーですが、その一部が今回『ファーストペンギン』としてドラマ化されているそうです。
激レアさん出演時の様子
「激レアさんを連れてきた。」は、ユニークな人生を歩んできた一般の人を紹介するテレビ朝日系の番組。
ドラマのモデルになった坪内さんは2019年4月16日放送回に「普通の主婦だったのに、気がついたら荒くれ漁師軍団の女ボスになっていた人」として出演しています。
坪内さんの話の中でも、特に漁師たちとのコミュニケーションにかなり苦労された様子がフォーカスされ、番組中に坪内さんは、現場に行ったら「どこの角度からでもキレるカンニング竹山だらけだった」と語っています。(出典:価格.com)
番組ではそこから司会の若林さんからゲストの剛力彩芽さんにキレたことある?という質問で盛り上がり、過去何度か仕事でキレた経験があるというぶっちゃけにスタジオ一同が食いついていました。(出典:webザテレビジョン)
坪内さんは激レアさんだけでなく、その話の面白さから、その後「金スマ」、「奇跡体験アンビリバボー」、「カンブリア宮殿」ほか「every.」などニュース番組の特集など様々な番組で紹介されています。
事実は小説よりも奇なりといいますが、坪内さんの体験は、どこを切り取ってもドラマのような場面ばかりですね。
どこまでが実話?
ブチギレは本当だった?
『ファーストペンギン』は初回放送のラスト、奈緒さんがキレて啖呵を切るシーンが話題になりました!
奈緒さんが堤真一さんと梅沢富美男相手に方言で一気にまくしたて、最後は堤真一さんの胸ぐらをつかんでにらみつける迫真の演技で一気に引き込まれた人も多いのではないでしょうか。
ほんわかした雰囲気の奈緒さんのイメージがいい意味で吹き飛びました(^^;)長台詞をあんなにキレながらよどみなく言えるなんて女優さんとしての演技力も底知れずすごいですね。
最初ドラマを見た時は、ここまで激しい言い合いがあったなんて、ちょっと信じがたいと思いましたが、「激レアさん」での話と総合するとあながち嘘じゃないかも…という思いもよぎり、どこまでが実話なのか改めて調べてみました。
すると、実際の坪内さんと漁師とのやりとりが収められた2013年の動画を見つけました!
本当にキレていました(笑)
実際には、もう出て行ってくれ!と坪内さんが漁師たちから追い出される事件があったり、坪内さんを誘った漁師の長岡さんとはとっくみあいのケンカをしたり、長岡さんが一時期組織を離れたことや、船員同士の殴り合いのけんか、主力メンバーの脱退という事態も起こったと言います。
男社会で何かを教わるというより背中を見て覚えるという仕事スタイルの漁師と、地元出身でもない若い女性がビジネスを語ってもなかなか会話が成立しないというのも無理はないかもしれません。
坪内さんはそれでも、スーツではなく漁師たちと同じジャージを着るようになり、地元になじむため方言で会話し、同じ目線で話ができるように努力をしたと言います。
実話とドラマの違いは?
坪内さんは初回放映シーンの撮影現場を見せてもらったそうですが、現実にほぼ近いストーリになっているとインタビューで語っています。(出典:日テレドラマ公式チャンネル)
そのままといえばそのまま。むしろ、ドラマの方が実はオブラート5枚くらいに包んで控えめなくらいで、実際はもっと激しいやりとりをしているそうです(驚)
SNSが騒然となった奈緒さんのキレ演技も実話に近かったんですね!
一方で、ドラマでは最初フランクに主人公の和佳は漁港の立て直しを頼まれる感じですが、実際はもっと切迫感があったそう。
彼らにとって漁は生きていく手段。
自分は学校を卒業してきて船と海と魚以外で稼いできたことがない。それ以外で生きてきたことがない自分たちにとって漁港の衰退イコール死を意味すると、最初の打ち合わせで漁師たちは涙を流して切実な現状を訴えたそうです。
ここはむしろ、実際に生活や人生がかかっている漁師さんたちの実際の切羽詰まり具合が、話の展開上少し軽めに描かれているという感じなのかもしれません。
坪内さんは自分のやってきたことをドラマとして改めて振り返ってみると、こんなこともあったなと思い出して笑いながら見ているそうですが、渦中にいる時はうまくいかないことが前提で、困難を乗り越えているという意識はさほどなかったと言います。
第6話では、舞台の島の住民から村八分にされ、家の前に画びょうや落書きされたりとかなり陰湿な嫌がらせを受けるストーリーにSNS上で「これは本当に実話?酷すぎる!」と大ブーイングが起こりました。
坪内さんは上述の通り「オブラートに包んでいる」と表現しているので、実際に嫌がらせを受けた事実はあるようです。ただ、実際の出来事については事実とドラマの演出が混在しているとしても、現在は坪内さんと漁港側も協力関係にあるというような感じなので、過去のことは水に流して、一緒に未来を向けるよう坪内さんが大人の対応をしている感じがしました。
なお、第4話で上京してフランス料理店を漁師たちが訪問するというエピソードがありましたが、この動画を見ると、実際の出来事だったんですね!自分たちの魚がどう扱われているかを知ったことで、漁師さんたちの意識が大きく変わったそうです。そして動画を見る限り実際の漁師さんたちはドラマほどガラが悪くないのがちょっと安心しました(笑)
殴り合いや涙など、今の時代はあっという間にパワハラ案件になりかねません。激しい言い合いにも見えますが、どこまでも腹を割って話ができるのもみんな真剣にお互いと向き合って、萩の漁業をもっとよくしたいという思いがあるからこそ。
そんな漁師さんたちを坪内さんは心から尊敬していて、ケンカはあるけど大好きな皆さんだと語っています。
私も夫の実家の近くに漁港があるので分かりますが、漁港はもちろん内部は立ち入り禁止。漁師さんも代々漁師の家系というかんじで、環境的にも文化的にもよそ者を寄せ付けない排他的な雰囲気が漂っています。
そこに頼まれたとはいえ、単身で乗り込んでいった坪内さんは本当に勇気があると思いますし、実際キレられたらキレ返すくらいの度胸は若い時に死を意識した経験や、彼女自身子供を育てていかなければならないという責任感がベースになっているとはいえ、なかなかできることではありません。
本当に令和時代にこんな人情ドラマが現実にあるんだという驚きだけでなく、1次産業従事者が価格決定権を持てる6次産業化という新しい仕組みが広がりつつあるということに、日本の未来の可能性を感じました。
ちなみに、今回ドラマ化にあたって、漁師さんたちは、俺も出るの?と相当気にしているとのこと(笑)特に、坪内さんのパートナーである漁師の長岡さんは、自分をモデルにした役を堤真一さんがやるということを知って大喜びだったそうです。漁師のおじさんたちもミーハーで可愛いですね(^^)
そして、坪内さん自身も主演の奈緒さんとは初めて会った気がしないほど、とても考えが近くて驚いたと言います。
キャスティングの妙ですが、啖呵を切るシーンだけでなく、実際の自分のありのままと近い感覚を持っている奈緒さんとはドラマの撮影を機に、前世は姉妹だったかもと言うほど一気に仲良しになったそうですよ。
まとめ
坪内さんは「日本の美味しい刺身文化を100年先まで」をミッションに掲げているそうです。今のままでは刺身を食べることが贅沢なことになってしまいかねない。漁師だけの問題ではなく、私たち日本人全員の生活に直結している問題として、このドラマを見たひとりでも多くの人が意識を持ってもらいたいと上述のインタビューで願いを語っていました。
坪内さんの飛び込む度胸はもちろんですが、荒くれ漁師の男性とのコミュニケーションなど、ひざを突き合わせてとことんまで話を詰めていくことができるのは、むしろ男性同士だと殴られて終わりのような展開にならず、リーダーが若い女性だということも功を奏したのかもしれませんね。
ファーストペンギンというよりもみんなで飛び込んだたまたま前に自分がいただけと坪内さんは謙遜しますが、人と丁寧に向き合う姿勢や、問題解決のスピード感、そして価値観や文化が全く違う相手とも信頼関係を作っていけるコミュニケーションスキルの高さにリーダーとしての資質の高さを感じました。
専業主婦で知識も経験もゼロのシングルマザーと顧客ゼロ販路ゼロ商品ゼロの状態の漁師が 何もないところからビジネスを作っていく感動のサクセスストーリーが実話だというのは本当に驚きますよね。
これからもどこが実話なのかあれこれ推理しつつ、ハッピーエンドまで皆で楽しみたいですね!
【まとめ】
- ファーストペンギンのモデルの女性は坪内千佳さん
- 激レアだけでなく、他にも数多くのTVやメディアに出演している
- ドラマは実話ほぼそのままだというのが坪内さん談
- 奈緒の迫真のキレ演技がSNSで話題に!